前述しましたように、公務員というのは、原則として副業が禁止されており、公益事業など一部の事業のみの副業が許されています。また、もし副業をやる場合は上司に許可を得なければなりません。公務員には、職務専念の義務があるからです。

 もちろん、この3人は、上司の許可は得ていませんでした。

 この件以外に、2022年12月にも、東京国税局では、女性職員が風俗で働いていたとして、懲戒処分を受けています。

 筆者としては、かなり衝撃的なニュースでした。

 というのも、筆者が国税に勤務していたころ(約20年前)には、こんな事件は考えられなかったからです。

かつて税務署は公務員の中で
もっとも規律が厳しい部署だった

 税務署員というのは、仕事はやくざの取り立て屋のような不条理なものでしたが、人間性自体は真面目な人が多かったのです。特に女性の場合は、超真面目な人が多かったです。税務というのは、ほかの公務員に比べて困難な仕事なので、女性の場合は、相当の覚悟を持って入ってきている人が多かったのです。

 映画『マルサの女』(1987年、東宝)に憧れて入ってきたという女性も多く、本当に「マルサの女」みたいに、仕事ができる真面目な人が多いというイメージを私は持っていました。

 また、税務署というのは、公務員の中でも特に規律が厳しいところです。

 税務署員が事件などを起こせば、納税者からたちまちクレームが来て、税務行政に支障が出ます。だから、税務署員には納税者と癒着しないよう、納税者からの信用を失墜しないよう、様々な不文律が定められていました。

「サラ金からお金を借りただけでクビ」

 という不文律さえあったのです。