トヨタと日野の協力体制の象徴「羽村工場」はどうなる?
トヨタとダイムラーは、日野と三菱ふそうの経営統合の概要を公表した。日独の4社は、共同で新しい会社を設立する。新会社は、三菱ふそうと日野の株式を100%所有する持ち株会社として発足。26年4月、東京を本社にして事業を開始し、東京証券取引所プライム市場への上場を目指すという。
トヨタとダイムラーは、(上場する)持ち株会社の株式を25%ずつ保有するという。新会社の最高経営責任者(CEO)にはトヨタ出身者ではなく、三菱ふそうのカール・デッペン氏が就任する予定だ。新会社の従業員数は4万人を超え、グローバルな体制で次世代の商用車開発に取り組むことになる。
今回の発表のタイミングで、日野は主力の生産施設である羽村工場の移管に関する発表も行った。羽村工場は1963年に生産を開始し、トヨタと日野ブランドの小型トラックに加えて、トヨタの「ハイラックス」や「ランドクルーザー250」など、世界的に評価の高い車種を生産してきた。羽村工場はトヨタと日野の協力体制の象徴だった。
今回、日野はその羽村工場の運営権をトヨタに移管し、同工場はトヨタグループのフレーム構造車両の中核工場として機能することになるという。フレーム構造車両は、自動車の骨格となるフレームを製造し、その上にエンジンやサスペンションといった部品やユニットを搭載し、さらに車体(ボディー)を結合する車両構造のこと。
日野は、羽村工場の移管について、「トヨタと日野で最適な役割分担を進める」と公言。中大型トラックの分野に選択と集中を徹底する。
一方、トヨタは、日野の経営をダイムラーの指揮下に置くことで、トラック事業から一定の距離を取る。それによって、これまでトラック事業につぎ込んできた経営資源(ヒト、モノ、カネ)を、乗用車分野に配分しやすくなる。トヨタとしては、乗用車部門で電気自動車(EV)、プラグインハイブリッド車(PHV)、ハイブリッド車(HV)の戦略に集中することができる。