6月の米雇用統計では雇用が着実に拡大している様子が示されたが、全体の数字は厳しい現実を覆い隠しているようだ。それは、民間企業が新規雇用を手控えていることだ。金利の高止まり、連邦政府による移民締め出しの動き、関税を巡る不透明感などを背景に、少ない人数で事業を運営していく方が望ましいと考える企業が増えている。6月の雇用統計では非農業部門の就業者数が14万7000人増加したが、その半分近くは州および地方政府を中心とする政府部門の雇用で、民間部門の増加幅は7万4000人と、2024年10月以来の低水準にとどまった。それに加え、労働省のデータでは、民間部門では半分以上の業界で雇用が減少したことが示された。こうしたことは2020年4月以来わずか3度目で、新型コロナウイルス禍以降は大半の業界が雇用を拡大してきた。
好調な雇用統計に潜む厳しい現実、民間企業の雇用が足踏み
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