管理職の多くが
面談スキル不足
しかし、実際には、せっかく導入した1on1面談が、思ったほどの効果を上げていないケースが多発しています。それどころか、単なる時間のムダで終わってしまっているケースすらあるのです。
これは(2)(3)(4)に関して、ルールや管理職研修が整備されていないなど、会社側の取り組みが不十分であることが原因です。
この(2)(3)(4)に関しては、私のクライアント企業の実例をご紹介します。
JFEエンジニアリングでは、2022年度から、1on1面談を正式に制度として導入しました。
その制度導入の責任者(プロジェクトマネージャー)を務めているJFEキャリアナビ代表取締役社長の土屋浩志さんに取り組みの現状をお聴きしました。
1on1面談は、今や大企業の7~8割が導入している制度であり、一大ブームとも言える状況です。それにもかかわらず、せっかくの制度が機能していない企業が多く、形骸化しているという実情を多く耳にします。
まず第一の原因は、上司の側に面談スキルが不足していることが挙げられます。実際、面談にはスキルが必要だと知って驚く管理職が多いというのが実情です。みんな自己流で行っていて、それで問題がないと思い込んでしまっていることこそが問題です。
また、管理職の多くが昭和型の古いマネジメントを経験している世代です。私たちは、誰かから教えてもらわないと、何の疑いもなく自分がされてきたことを部下に対しても行ってしまいがちです。
それを象徴するのが、(4)です。部下は、まずは今の大変な状況を少しでも理解してもらいたい。あわよくば共感してもらえたら嬉しいと思って、上司に相談しているのに、「がんばりが足りない」みたいな言葉で一蹴されてしまったら、もうその後、1on1面談で本音の話はしてくれなくなってしまうでしょう。
もちろん上司に悪気はありません。100%善意で行っている叱咤激励なのですが、場合によっては、部下を突き放してしまったり、追い詰めてしまっていることもあるわけです。