茶碗に米をよそう写真はイメージです Photo:PIXTA

米の値上がりが止まらない。備蓄米が市場に出回るようになり「初めて古古米や古古古米を食べた」という読者の方もいるのではないだろうか。「それでも古米は食べたくない」という声も聞こえる昨今だが、知らないだけで、実はあなたも私も古米を食べている。牛丼、カレー、回転寿司、高級寿司にはどれくらい古米が含まれているのか?飲食業界のマーケティング・コンサルタントが、外食産業の「驚きの古米事情」を明らかにする。(講演・研修セミナー講師、マーケティング・コンサルタント 新山勝利)

最近話題の「古古米」「古古古米」だが……

 まだまだ終わらぬ「令和の米騒動」。米の値上がりが止まらない事態に、政府は備蓄米の放出を決定し、消費者の手元に、まずは22万トン(2022年産20万トン+2021年産2万トン)の「古古米」と「古古古米」が流通し始めた(参考記事)。今後はさらに古い年度の米が流通する予定だ。

 メディア記事やテレビの街角インタビューなどを見ていると、「古米は食べたくない」と避ける声も少なくない。しかし、そうした人も、実は知らないうちに古米を食べていたと知ったら驚くのではなかろうか。日本で暮らし、ごはんを食べている人であれば、誰もが普通に古米を食べている。ほとんどの日本人は、古米を避けることはできないのだ。

そもそも、今出回っている米はすべて「古米」

 新米の定義とは、(1)その年の秋(産地によっても異なるが、9~10月頃が中心)に収穫された米で、(2)その年の12月31日までに精米・包装されたものを指す。食品表示法では、パッケージに「新米」と表記できるのは、その年の12月31日までに容器に詰められた玄米、または精米に限られている。

 つまり、収穫された年の12月31日を過ぎた米は、すでに古米であり、次の年の新米が市場に出回るまで古米として扱われる。今(2025年7月)の時点でいえば、去年の秋に採れたばかりの米も含めて、流通している米はすべて「古米」となる。

 ただし、スーパーや精米店などが、わざわざ「古米」と表示して米を販売することはもちろんない。なぜならば、「古米=古い米=新米が古くなった米」となり、消費者に与えるイメージがあまりにも悪く、そんなことをしたら誰も手に取らないからだ。