シャリ(酢飯)には古米を多めに入れ、新米で食感のバランスを調整する。水分が抜けている古米は、炊き上がりも硬めになり、酢をよく吸ってくれる。新米だけでシャリを作ると、水分が多すぎてベチャベチャの食感となりやすい。高級鮨では、口内にシャリが入ると粘り気が少なく粒離れがよくすぐに崩れるのがよいとされる。米粒を噛むと弾力性があり歯ごたえを感じるのが「うまいシャリ」だ。そのためには、古米が必要となる。
自宅ですし飯を作ったとき、時間が経って乾いてしまうことはないだろうか。これは新米ゆえに酢の吸収度が低く、米表面の酢が飛んでしまうからだ。
寿司を食べるとき、「大間のマグロだ」「初ガツオは有難い」などと、産地や旬を気にする人は多い。しかし、それにあわせる米の産地や、新米と古米のブレンド率にはほとんど誰も気にしていないものなのだ。
古米かどうかを知るには?
古米はどうしても水分が抜けるので、炊いたときに割れやすくなる。精米する場合も、時間の経過で米の表面の酸化が進み、風味や食感が損なわれるので、新米よりも多く削る。そのため、ご飯で盛られた際に割れているものが入る。そして、細長い米のなかに丸みを帯びたものが混じってしまう。外食をするときに、ごはん粒をよく観察するとわかるはずだ。

古米を割れにくくするなどの目的で、「精米改良剤」と称する食品添加物も存在する。合成甘味料は、保湿とともに甘みを感じる。品質改良剤には、米粒を適度に粘着させ、割れや欠けを防ぐ役割がある。あまりにも管理・保存状態が悪い古米には、こうした添加物を利用する場合がある。
最後に、“意外にも新米率が高い食べ物”をお教えしよう。それは、コンビニのおにぎりだ。おにぎりは通常は冷たいままで食べるので、古米率が高いと匂いが鼻につくからだ(北海道や沖縄など、おにぎりを温める習慣がある地域もあるが)。
次、外食をする際には、古米がどのくらい含まれているかを自分の目と舌で確認してみると面白いだろう。外食産業は古米で成り立っているのである。