牛丼やカレーライスの古米ブレンド率は?
そもそも外食産業では、なぜ古米を入れたブレンド米を使うのか。その一番の理由は、もちろん、価格を下げるためだ。消費者は割安な食を求める。財布のヒモを緩め支払う金額に見合った満足度、つまりは費用対効果をジャッジしている。そして、その後にはリピート(再購買)するかどうかを決める。コスパの評価が悪いと次はない。
提供するメニューごとの事情もある。その点も踏まえ、ここからは料理別の古米の割合を紹介したい。もちろん、最後は個々の店やそのときの事情により実態は異なる。しかし、慣習価格(消費者がある商品に対して認識している「○○は××円くらい」という慣習的な価格)に対して極端に安い場合には、古米率が高く、古い年度の米が多くなっていると思っていい。
古米が多いとどうしても、白いライス部分から古米臭(米ぬかの脂分が酸化して発生する独特の臭い)を感じることがある。古い米には、「ぬか臭さ」や油っぽさを感じる。政府の備蓄米は契約で、倉庫の内部は年間を通して温度は15度以下、湿度は60から65%に管理されているため、状態がいい。しかし、一般に流通している古米は、ここまでの管理が行き届いているとは言い難い。実際には、管理・保管状態が悪い米も多く利用されている。
まず、カレーライスやチャーハン、牛丼などの丼ものは、古米が半分以上と思っていい。8割くらいブレンドされることもある。とくに、牛丼やカツ丼、中華丼といった丼物は、ごはんの上に具材をかけ、白いごはんの部分にふたをしてしまうので隠されて米の色が見えなくなる。具材とごはんを絡めて食べるので、古米率を高めても分からない。
さらに、チャーハンやピラフ類は、油でコーティングされているし、パラッと硬いごはんが好まれる。むしろ古米のほうがおいしく仕上がる、古米に適している料理といっていい。
和食店では、主食として白いご飯だけを食べて、米の美味しさを感じるものが喜ばれる。白飯は炊いた米だけを口にふくめるので、鼻腔が香ばしさを感じやすいが、温かいと意外と古米臭があっても気付かない。目安としては、新米と古米を1対1程度にブレンド、古米臭に応じて改良材(後述)を入れることもある。
回転寿司は古米がほぼ100%、高級寿司店は?
回転寿司では、古米が100%近くになる。古米多めのブレンド米を使うことで、あの低単価を実現しているのだ。強めにすし酢を打った酢飯にするので、古米臭もほとんど感じない。
「我が家は外食する際、銀座の高級鮨だけしか食べない」という方もいらっしゃるかもしれない。しかし、寿司屋は昔から古米を多用している。回転寿司でなくても、古米が3割、5割は当たり前。しかしそれには理由がある。