ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、ジョージアとウクライナへ侵攻し、バルト海諸国に脅しをかけることで、ロシア共和国が旧ソ連の領土を取り戻せると信じていることを明確に示した。このドクトリン(基本原則、考え方)は、このままでは中国の習近平国家主席の「中国の夢」と衝突する。中国の夢とは、中国が欧州とロシアの帝国主義政権に対して広大な領土と一部地域の統治権を譲り渡さなければならなかった1800年代の「恥辱の世紀」を元に戻すことを目指すものだ。習氏が事実上プーチン・ドクトリンを採用していることで、この二つの専制主義国家の間の領土紛争は世界の安定に対する最大の脅威の一つになる公算が大きい。プーチン氏にとっての差し迫った問題は、領土回復主義の中国による返還要求だ。それは主に、1858年のアイグン条約と1860年の北京条約によって満州東部とウラジオストク港をロシアが取得したことに端を発している。シベリアと中央アジアは、習氏のビジョンにとって香港と台湾と同じくらい重要だ。中国は現在、「一帯一路」構想や鉱業・エネルギー権益の開発、中国東部から欧州の中心部に至る旧シルクロード全体の鉄道網接続を通じて、中央アジアおよびモンゴルにおけるロシアの権益を侵害している。