通勤がないことのメリットは、時間だけではありません。転職した当初に感じたのは、日々の疲労感が全く違うということです。

 私は仕事が終わった後も体力があり余っていたので、夕食を食べて、子どもの寝かしつけを終えてから近所のジムに毎日通っていました。

 次男が生まれ、仕事では中間管理職になってからは公私共に自由に使える時間が激減しましたが、それでも週3回のトレーニングは続けられるぐらい心身とも余裕はあります。

 職場の同僚も、通勤で浮いた時間と体力を有効活用しています。たとえば長野県に住む元番組制作会社の先輩は、冬はスキー、夏はトレランを楽しんでから出勤しています。

 千葉県の九十九里に住む元広告代理店の同期は、早朝からサーフィンを楽しみ、趣味の畑仕事に精を出してから働いています。日中は仕事をして、それ以外の時間は好きなことを思い切り楽しむという振り切ったマインドを持てることがゼロ通勤の真価です。

当初は画期的に思えた
フルリモートという働き方

 フルリモートのおかげでメリハリある充実した暮らしが手に入り、当初は「こんな素晴らしい働き方があるのか」と目から鱗でしたが、やはり3年も続けているとメリット・デメリットがはっきりと見えてきます。

 メリットはやはり通勤がないことから派生した健全なワークライフバランスの実現に尽きるでしょう。

 また、物理的に職場の人間と毎日顔を合わせる必要がないので、「仕事は仕事、家庭は家庭」などと適度な距離感を保ちながらメリハリを持って仕事に取り組めます。

 公私にわたってガッツリ人と関わり仕事を進めたいという人にとっては物足りなさがあるかもしれませんが、私の場合は前職が良くも悪くもウエットな職場だったので、多少ドライな関係性ぐらいがちょうど良かったです。

 年齢が近い人とは飲み会やゴルフで仲良くなりましたが、基本的には仕事とプライベートをしっかり線引きしている人が多い印象です。