多くのメリットがあるフルリモートですが、じゃあ毎日自宅でPCの画面を見ながら仕事する働き方が文句なしの正解なのかと問われると、私はそうでもない気がしています。
一言でフルリモートといっても企業によって勤務形態は様々で、生活スタイルや価値観によって感じ方には個人差があると思いますが、少なくともフルリモートはかなり人を選ぶ働き方だと3年やってみて実感します。
いいとこだらけなリモートも
人によっては「息が詰まる」
私が転職して2年目の頃、同僚が毎日出社の仕事に転職していきました。辞める前、彼は私と飲みながら「この働き方は一見楽だけど、息が詰まるよね」と漏らしました。いまとなっては、この言葉の意味するところがよくわかります。
人間は物理的に人と会い、適度なコミュニケーションをとることで健全な精神状態を保つ生き物だと思っています。
フルリモートだと、能動的に人に会おうとしない限り、家族や近所の人など最低限のコミュニティの中で生活することになります。
独身であれば、人と全く接することなく数日過ごすことも可能でしょう。Zoomなどで職場の人と話すといっても、オンラインのコミュニケーションにはやはり限界がある印象です。
仕事の進め方がわからない新人が誰にも悩みを打ち明けられず、塞ぎ込んで休職したということもありました。周りのサポート体制の問題だと片付けてしまえば簡単ですが、フルリモートの同業他社でも同様の問題が生じていると聞きます。
社員個人のコミュニケーション能力が求められるのはもちろんのこと、上司と部下がともに同じ方向を向いて業務の進捗や課題感の認識などを逐一共有する必要があります。
また、対面と比べてどうしても業務の過程が見えにくいため、成果のみで定量的に評価される傾向があります。フェアでわかりやすい一方で、社員個人の成果が定量的に出にくい職種の場合、評価基準はフルリモートならではの独特の難しさがあると感じます。