
東京に通える郊外のベッドタウンに暮らし、地元で子育てや親孝行を重視する人たちが増えている。著者は、こうした生き方を「マイルドヤンキー2.0」と名づけた。リモートワークの普及で広がりつつあるこの“ちょうどいい生き方”には、これからの暮らし方のヒントが詰まっていた。※原稿は、歩兵、中尉『俺たちの転職物語』(KADOKAWA)の一部を抜粋・編集したものです。
新しいマイルドヤンキーは
一度離れた地元に戻ってくる
2023年冬、note「俺たちの転職物語」(編集部注/noteで連載されている転職記。「いままでなかった転職メディア」をモットーに活動している。編集長は歩兵、副編集長は中尉)の取材でとある人に「このnoteに出てくる人たちって、マイルドヤンキーっぽいよね」と言われました。はて、マイルドヤンキーとは?
調べてみると、「マイルドヤンキー」はマーケティングアナリストの原田曜平氏が生み出した言葉でした。
直訳すると“穏やかなヤンキー”。ネオン輝く都会への憧れや上昇志向を抱くいわゆる昔の“ヤンキー”と違い、どちらかというと地元志向が強く、半径5キロ圏内で生活をし、仕事からプライベートまですべてその地域で完結するような人などのことを指すようです。
なるほど確かにマイルドヤンキーっぽいな、と思いつつも少し腑に落ちない感もありました。
我々が取材していたのは、就職と同時に一旦地元を離れ、結婚や出産などライフステージの変化をきっかけに地縁の大切さに気づき、再度Uターンで地元に戻り、そこで定住を決断するような人たちが多かったのです。
地縁を大切にする、地元で生活を完結させるなどの点はたしかに共通しています。
一方、一度その地域を出て、外の世界を見て知った上で地元に戻るという点では、ある種その地域に閉じこもり、外の世界に出ない(出ようとしない)とされる従来のマイルドヤンキー像とは一線を画す印象を抱いていました。