ドナルド・トランプ米大統領は関税措置そのものを好んでいる。その最新の証拠は、銅輸入に50%の関税を課すという理解しがたい決定を下したことだ。この措置が米経済にどう役立つのかは謎である。すでに銅市場を大混乱に陥れ、この重要金属を使う米製造業界に混沌(こんとん)とした影響をもたらしている。銅は建設や工業生産に広く使われているため、銅相場は通常、景気指標となる。しかし今年は、経済成長が鈍化しているにもかかわらず銅相場が上昇している。トランプ氏が2月、銅輸入について通商拡大法232条に基づく国家安全保障上の調査の開始を命じたことを受け、企業やトレーダーは在庫確保に動いた。調査結果はまだ公表されていないが、トランプ氏が銅輸入に50%の関税を課すと今週発表したことで、輸入が急加速した。8日にはトランプ氏の発表を受けて、銅相場が史上最高値を付けた。同氏は9日、この関税措置は8月1日に発効すると述べた。銅の需要家は、その前に在庫を確保しようと奔走している。
【社説】銅市場を混乱させるトランプ関税
米企業の調達コストが50%上昇する一方、国内生産を増やすには何年もかかる
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