(4)付加価値:仕組みから付加価値を生み出す
「無言のリーダーシップ」を完成させるためには、チームが自走するだけでは足りない。リーダーが何も言わなくても、「付加価値」を生み出すことができるチームこそ、真の「無言のリーダーシップ」の成功である。センス頼りだと思われていた付加価値の最大化を、仕組みによって生み出すことだ。
ここまで読んで、「なるほど、そもそも“無言”とはそういうことか」と納得していただけただろうか。
この4ステップを進めていく途中で、あなたがリーダーとして部下にいちいち説明をしなくても問題なく回る場面が増え、具体的なコミュニケーション量が減ってきたと感じたら、それはチームが仕組みを活用し始めた証拠である。
さらには、部下から「自分で考えた結果、こうしてみました」という報告が増えたら、「無言のリーダーシップ」に確実に近づいている。

「うまく回っているみたいだけど、こんなに指示しなくていいのかな」と怖くなって余計な口出しを復活させてしまうと、プロセスが振り出しに戻るので要注意だ。ある程度、不安でも任せてみる姿勢と、問題が起きたら仕組みを調整すればいいという度量が必要になる。
「無言のリーダーシップ」について、もしまだ具体的なイメージが湧いていないとしても大丈夫だ。この4つのステップを、あなたが置かれた現場に当てはめて、「どうすれば言葉を減らせるのか」「どういう仕組みがあれば部下の行動を自動化できるのか」を考えてもらいたい。
私が現場で見てきた限り、成果を出すリーダーは、言葉でチームを操縦する存在ではなく、チームが自ら動く仕組みをつくり、運用する存在だ。そこを誤解しなければ、あなたも、あなたのチームも大きく成長するポテンシャルを秘めている。
「無言」になれるかどうかは、単に「しゃべる」「しゃべらない」の話ではない。最小の時間と資本で、どれだけの付加価値を生み出せるかというマネジメントの根幹を問うテーマである。ぜひ、あなた独自の「無言のリーダーシップ」を完成させてほしい。