つまり、しっかりとした見通しをもつことで、むしろ積極的に先延ばしながらうまくタスクマネジメントができると捉えることができます。「時間の使い方が上手な人」という表現が使われることもありますが、時間をうまく管理できる背景には、限られた時間のなかで、タスクと自らのパフォーマンス量を的確に把握し、タイムリーに先延ばしたり、とりかかったりというタスクマネジメントができている人ともいえます。なんだか少しだけ先延ばしに対するポジティブなイメージがみえてきた気がします。
とあるバラエティ番組の出演者が、「夏休みの宿題は8月31日(つまり夏休みの最終日)にやっていた。でも、それは計画してのこと」という趣旨のお話をされていたことがあります。これはまさしく「あえての先延ばし」です。
小学校の夏休みの宿題の量は決して少なくありません。夏休みが終わるまでという明確な期限があるなかで、そこそこの量のタスクを計画的にこなすことを、子どもに課していることになります。よく考えてみると、私たちは小学生のときからタスクマネジメント力が試されてきているのです。
先延ばしにしている時間が
創造性を高めていることも
一見、タスクを後回しにしているようにみえても、計画的で意味のある先延ばしは、さまざまなプラスの成果をもたらすことがあります。ここでは、意図的な先延ばしが創造性を生むことを示した研究を紹介します。
皆さんも日頃、YouTube動画を視聴したり閲覧したりすることがあるかと思います。あまりYouTubeを見ないという人は、SNS、Netflixなどのサブスク動画に置き換えてふり返ってみてください。
アメリカで行われた調査では、オフィスで働く人たちが1日あたり平均およそ77分間の時間を、本来のやるべき仕事とは無関係のYouTube動画の視聴に費やしていることが示されています(注2)。私も、気分転換にYouTube動画を閲覧することがありますが、1日あたりの総視聴時間をつなぎあわせると……と思うと少しドキッとします。