自社の組織を固めるためには、この与えられた裁量権を最大限活用するべきです。採用の精度を高めることこそ問題社員から自社を守る最大の防壁になります。

応募者数と採用の成否は
必ずしも一致しない

 経営者が採用に失敗する原因から解説します。最大の原因は、KPI(重要業績評価指標)の設定ミスです。

 100人の応募があっても、会社の価値観を共有できない100人であれば意味がありません。妥協して採用すると、100人の問題社員を抱えるだけという地獄の日々に至るだけで、採用として失敗です。

 応募がたったひとりでも会社に合ったひとを確保できたなら、採用として大成功です。経営者は「人手が足りないから」と応募者数をひたすら増やす発想を持つべきではありません。

 採用の成否とは、経営者が求める人材を確保できるか否かによって決まります。求める人材とは、端的に言えば会社の価値観を共有して指示に従うひとです。そこをおさえなければ採用費用ばかり要して、結果につながりません。

【典型的な失敗パターン】

ひたすら求人サイトでの掲載を増やそうとする
 求人サイトも経営者が応募者数にこだわることを認識しています。そのため、できるだけ応募者数を増やすべく応募方法をシンプルなものに設計するのです。

会社に合わないひとまで応募してくる
 サイトでは大企業と比較されやすく、「コストをかけても効果がない」となる。気軽に応募してくるひとは、会社に対する思い入れもないため簡単に退職しやすいのです。

採用しても問題社員化する
 会社の価値観に合わない人材をとることになります。採用のミスマッチが起こり、問題社員化するリスクが高まります。

面接の印象で決めて
後悔しがちな中小企業

 採用におけるミスの原因としては、面接に対する過度の期待もあります。

 中小企業では、選考をするにしてもたいてい書類選考と数回の面接というものです。経営資源の限られた中小企業にとっては、採用にコストをかけるわけにはいきません。選考がシンプルになるのはある意味では仕方のないことです。