抜本的要因2
日本人社会に特有の文化
孤高の島国である日本は、良くも悪くも海外とは異なる独自の文化を生み育んできました(以下、主なもの)。これらの多くは外国人にとって魅力的に映る半面、理解しにくいものです。また、日本人と外国人の真の対話と相互理解を阻む、最悪は異文化間衝突をまねく要因でもあります。
(1)世間様(Seken-sama)
西洋発の社会(ソサイエティ)の概念は、まず個人があり、個人は市民として他の市民と共同体を主体的に運営する。逆に日本の世間(正確な多言語訳はなく、多くの日本人も説明に困る)の概念は、まず共同体があり、個人はその構成員の一人として共同体に貢献する(以下、世間の特徴)。
●世間で捉える共同体とは、日常的に関わる身近な集団(職場・町内会・県人会・日本国など)
●従って、同じ構成員または同砲と認識する範囲は、これら身近な集団の人たちで留まり、外国人まで及ばない(一方、西洋発の社会の概念では、同じ市民としての同胞と認識する範囲は、環境問題、人権問題、人道問題などテーマにより世界にまで拡がる)
●世間の構成員は、他の構成員に迷惑をかけることなく和を保つために、共同体のルール・習慣・空気に最大の注意を払いこれに厳格に従う
●階層的に、世間は構成員(個人)の上位にある。これにより「世間をお騒がせして申し訳ござません」と謝罪する、また、世間に「様」を付けるという不思議な文化がある
(2)内(Uchi)と外(Soto)
日本人と外国人、日本に住む日本人と海外邦人、同郷人と他地域の人、自社社員と他社社員など内の人と外の人を区別し、それぞれに対し異なる対応をする傾向が強い(以下、その特徴)。
●外の人たち(特に言葉と文化の壁を強く感じる外国人)が内に入ってくることを好まない
●内の人たちには親近感があり、共に集い協働する機会が多い。一方、外の人たちとは心理的距離が大きく接することや協働を避ける
●内の人たちから嫌われたくない、内の集団からはじき出されたくないとの思いから互いに衝突を避け同調する
●内で起きた問題の責任を外の人に転嫁する傾向が強い(スケープゴート)
●国内に入る外国人を少数であっても脅威と感じ、ナショナリズム(国粋主義・民族主義)が高まり拡がりやすい(例:江戸時代の孤立主義、幕末の対米英仏脅威論と国体思想、近年の反グローバリズムと外国人排斥世論)
●内向き志向が強く、海外など外のことに関心が薄い