そこから逆算して、いまやらなくてはならないことを考えてみるのです。資金が必要ならお金を貯めなければなりませんし、技術が必要なら訓練しなくてはならないでしょう。

欧米では労働は「罰」
日本では労働は「美徳」

 やみくもに勉強するのは無駄になりますが、将来必要な勉強はしておくべきです。さらに、コネが必要なら社交的な生活をいまから送っておかなければなりません。

 かつて、『金持ち父さん 貧乏父さん』(ロバート・キヨサキ著/筑摩書房)が流行ったころ、アーリーリタイアメントに憧れているビジネスパーソンが大勢いました。

 最近は、「FIRE」という言葉も浸透してきました。

 40代までに稼げるだけ稼ぎ、50代からは悠々自適の生活を送りたい--そう願っている人はいまも多いでしょう。

 けれども、実際にそういう生活を送ってみると退屈なようです。アーリーリタイアメントは労働を「罰」だと考える欧米にはなじみますが、労働を「美徳」とする日本にはなじみません。

 聖書のなかで、アダムとイブが禁断のりんごを食べてしまい楽園から追放される、というくだりがあります。そのとき、神はアダムに生涯働き続けるよう、労働を罰として与えたのです。

 そこで欧米では仕事に幸福を求めず、余暇やプライベートに幸福を求める傾向があるといわれています。

 40代は仕事が最も大変な時期なので、方向転換をするのが難しいと感じる人もいるかもしれませんが、無駄な残業や、飲みに行く時間を減らして時間をつくればいいだけです。

 まわりに流されている毎日をシフト・チェンジすること。そして、失っている「自分のための時間」を取り戻さなければいけません。

 真面目にあくせく働いていたら、きっと報われるに違いない――。

 実直で誠実なのは日本人のメンタリティでもありますが、それだけで評価してもらえるほど世の中は甘くはないのが現実です。プラスアルファの能力や強みがないと評価をしてもらえないのです。