「あらゆる人脈をフル稼働」
三木谷会長が動く
5月中旬に開催が発表され、最高額16万4000円のチケットもほぼ完売している状況で突きつけられた中止危機。さらに追い打ちをかけるように、今夏のバルセロナのアジアツアーで公式プロモーターを務める韓国のD-Drive社も緊急声明を発表。そのなかでヤスダグループを激しく非難した。
「中止となったバルセロナとヴィッセル神戸との試合は、ヤスダグループによって提案されたものです。弊社はこの試合に関する運営負担金の全額を受け取る予定になっていましたが、現時点でいっさい送金されていません。
それどころかヤスダグループは『送金は完了した』と虚偽の主張を繰り返し、偽造された無効な書類を何度も提出してきました。さらに同社の社員が『CEOは実際には送金していない』と認める音声記録も私たちの手元にあり、これは明確な詐欺行為の証拠となります」
同社は韓国開催分の運営負担金1000万ユーロ(約17億2000万円)は、すでにバルセロナ側へ振り込み済みだと主張。ヤスダグループから同社へ振り込まれるはずだった500万ユーロ(約8億6000万円)が未払い状態のために、バルセロナ側の堪忍袋の緒が切れたと騒動の背景を明かした。
「この詐欺的行為により、楽天のブランドイメージも大きく傷つけられました。これらの事実に基づいて、バルセロナは日本での試合を中止するという正しく、かつ責任ある決断を下しました。 関与した日本側の団体(ヤスダグループ)に対しては今後、法的措置を講じ、損害賠償を求めていく所存です」
時間的にも自らがバルセロナへ飛んで、予定通りチャリティーマッチを開催させるために交渉する時間はない。三木谷氏は「最初は『何だ、これは』と。そこからはもう直接も間接も全部やりました」と苦笑しながら、日本で陣頭指揮を執り、あらゆる人脈をフル稼働させた約36時間を振り返った。
まずはバルセロナ、D-Drive社が発表した声明を含めて、事実確認から着手した。ヤスダグループへのヒアリングを実施した、とも伝えられたなかで、三木谷氏は短く言及しただけだった。