9億円近い未払金を肩代わり
しかし、まだ高いハードルが

「ファクトとしては(ヤスダグループから)着金していなかった、ということでした。その問題に関しては本当にいろいろな人が協力してくれて、何とか解決しました」

 ヤスダグループからD-Drive社に対する振り込みが、期日までに入金されていなかったとだけ明かした三木谷氏は金額にも、楽天グループが肩代わりしたのかどうかにも多くを語らなかった。

「そのへんは正直、法的な話やいろいろな契約関係の話などがあると思うので。なので、弁護士といったしっかりとした方から後日、説明してもらった方がいいと思っています」

 もっとも、三木谷氏が事態を把握してから約半日後の24日夕方、スペイン時間の同日午前中には状況が変わってきた。バルセロナを拠点とするスポーツ紙の『SPORT』がこう伝えている。

「試合のチケット販売を担当していた楽天グループが、主催する側ではないにもかかわらず、サッカー界におけるイメージの悪化を防ぐために未払い金を肩代わりして状況が一歩前進した」

 自身が創業し、いま現在は会長兼社長を務めているとはいえ、日本を代表するIT企業の楽天グループを動かし、わずか半日という限られた時間のなかで9億円近い未払い金を用意した。もっとも、予定通りバルセロナ戦を開催するためには、高く険しいハードルがまだ2つも残されていた。

 まずはバルセロナとの関係の修復となる。お金が絡んだうえに、韓国側からヤスダグループによる詐欺行為も指摘されていたからだろう。最初に声明を発表した時点で、バルセロナのラファエル・ユステ副会長は「私たちへのリスペクトがない日本へは、絶対に行かない」と怒り心頭だった。

 楽天グループは2017-18シーズンから4年間にわたって、バルセロナのグローバルメインパートナーを務め、ユニフォームの胸部分に『Rakuten』のロゴが掲出された縁がある。この間に築いた豊富な人脈のなかで、三木谷氏はバロセロナやスペイン代表で活躍したジェラール・ピケ氏へ連絡を入れた。

 現在38歳のピケ氏は、最終ラインで存在感を放っていた2017年に、出身地のバルセロナにスポーツおよびメディアビジネスを事業の柱とするKosmos Global Holding, S.L.を創業。現役ながら代表取締役会長兼社長兼CEOに就いたピケ氏を支援していた三木谷氏は、今回のやり取りをこう語る。