フィードバックにおける、人事担当者の役割は?
これまでは、フィードバックをする側の姿勢や方法を中原教授に尋ねてきたが、フィードバックをもらう側の“フィードバックを取りにいく姿勢(フィードバックシーカーになること)”も大切なようだ。
中原 若手社員は「フィードバックをください」と言うだけではなく、自分で取りにいって自分を成長させることが必要です。学校などの教育機関であれば、「先生に聞く」という行動が普通ですが、会社の場合は、フィードバックを取りにいく相手が上司なのか先輩なのかも自分の選択になります。いつ、誰に、何について聞くか――この3つの掛け算を考えてフィードバックを取りにいくことがポイント。そして、上司や先輩社員は、フィードバックシーキングをしてもらいやすい環境を作ることが大切です。
では、上司と部下の間で行われるフィードバックに、人事担当者はどのように関わっていけばよいか?
中原 いまの時代、上司の一言で部下がメンタルダウンしてしまったり、ハラスメントで訴えられたりすることが容易に起こり得ます。だからこそ、人事担当者には、フィードバックの型や行動習慣の原理原則を上司やマネジャーにインストールしてほしいです。手段としては、研修などを通して、「フィードバックを受ける経験」と「フィードバックをする練習を行うこと」です。ロールプレイングをして、さらに効果を高めたいなら、その様子を動画撮影してみてください。自分がフィードバックをしているときの様子を映像で見たら、おそらく、ほとんどの人がショックを受けるでしょう。でも、プロのアスリートも、自分のフォームを撮影して、それを自分で見て修正していきます。自分が行っているフィードバックに対して、自身で確認したり、誰かのフィードバックを受けたりする――その場づくりや支援を人事担当者が行えるといいですね。