一度結果が出たら、やるべき対応は明らかです。一番売れている商品を徹底的に強化して伸ばすことです。まずは結果が出たらその数字に素直に従うことです。

 商品力と言うとその現物そのものだけ見てしまいがちですが、実は陰で支える多くの力があるのです。

 アメリカの小売業では商品部門が売上だけでなく仕入量、仕入価格、値引・割引、粗利益そして在庫処分損までを管理しています。これらの要素がすべて売上と利益につながり、商品力の重要な一部を作っているのです。

 どれだけのマークアップを乗せるか、どれだけ余剰を出さない発注管理をするか、どれだけ売り逃しを出さないか、どれだけ利益に効果的な値引・割引に抑えられるか、これらすべてを合わせて、初めて売上と利益につながる真の商品力となるのです。

広告や宣伝、PRの役割は
告知をすることではない

 商品がいくら優れていても人が来てくれなければ売上は上がりません。これが集客力です。狭い意味でのマーケティングと呼ばれる分野に近いです。

 集客力は広告、宣伝、PR、販促などを担当する部署が手掛けていることが多く、それゆえ広告に代表されるように告知をすることが目的と思われがちです。まずは認知度を上げることのために行うと思われやすいですが、販売する場所がなければ広告などしないように、目指すのは売上であり、そのために消費者に販売現場に来てもらうこと、それが売上につながります。

 同時に非常に誤解が多いところだと感じています。経費的には非常に大きいにもかかわらず、その業務が売上に直結して考えられていないことが多いのです。売上への寄与度が計測しにくい、というのもあったと思います。

 しかし現在ではマスメディア広告であっても売上への寄与度を計測するサービスはありますし、これだけ商品発売そして消費者の興味の移り替わりが早い中で、まずは認知を、という発想では非効率すぎます。

 ラグジュアリーブランドはイメージだけの広告をしている、と思われるかもしれませんが、よく見てみるとそれも必ず売りたい商品の広告になっています。そして売上に直結しやすいイメージを選択しているのです。