課題はコンビニの「さまざまな音」
課題はセキュリティーなどもあると思うが、実質的に最も大きな課題は音だ。
これは、車中泊利用者から発する音ではなく、コンビニ利用者側の音を指す。
車中泊利用者は、RVパークの利用規約の中で「近隣住民に対して騒音等を発生させるなどして迷惑な行為をしないこと」などに同意しているため、音に対して節度ある行動を取るものと考えられる。
また、一般的なキャンプ場では、例えば午後10時以降をサイレントタイムとして、周囲への音の配慮をしており、そうした習慣を基にローソン車中泊の利用者が自主的に対応することも考えられる。

一方でコンビニという業態においては、通常の車中泊とは違う条件がさまざまある。
まず、日夜を問わず、不特定多数のクルマと人の出入りがある。
今回のローソン実証実験を行っている6店舗はそれぞれ、人口が比較的少ないエリアにあり店舗の周囲はとても静かだ。
その半面、これら周辺は夜間に簡単な買い物や飲食をする場所が少ないため、夜間でもコンビニの来客があると考えられる。また、国道128号は外房の主要道路であり、夜間の交通量は減るがコンビニの利用はそれなりにあるはずだ。
その上で、クルマのエンジン音、人のしゃべり声、そして車内からの音楽が深夜でも発生する。音楽では、ズンズン、ドンドンといった低周波が周囲のクルマの車体に振動として伝わることもある。
また、エンジン音に対しては、ローソンを含めてコンビニ各社は周辺住民へ配慮してアイドリングストップや前向き駐車を推奨しているが、特に夏場や冬場はエアコン使用のために駐車中にエンジンを切らないケースが少なくない。
そうした状態で深夜から早朝にかけて長時間駐車するケースもあり、それは事実上の無料車中泊といえる。
そのため、ローソン車中泊実証実験について、事実上の無料車中泊を規制しないのでは有料化のメリットはあまりないとの声をネット上で見受けるし、筆者もそうした見方に同感だ。つまり、ローソン車中泊実証実験の課題は、車中泊そのものにあるといえる。