早期の「職業意識」で年収1000万円超!

 遠田さんと違い、桜井公博(仮名・28歳)さんは、20代後半で年収1000万円を超える仕事をしています。

 桜井家では、彼が小学5年生の時に両親2人で不動産会社を開業、家庭内では賃貸契約をしたお客さんの悪口や、夫婦でお互いの仕事のやり方で喧嘩することもありました。

 桜井さんは親の会社で過ごしたり、取引先のリフォーム会社に親と同行したり、親戚の税理士事務所に行ったりして、多くの職業を目にしながら成長しました。

 たとえ悪口でも、仕事の話を聞いていると、自然とさまざまな業務内容について詳しくなりました。

 桜井さんはそのうち自分の将来の仕事をイメージし、適性分析できるようになりました。新卒で入社した中堅のデザイン会社では、気楽に楽しみながら仕事をしていただけなのに、社内外で評価が上がり、入社5年目で経営戦略部に所属、社長直轄のチームに配属されました。

 さらに、会計士の資格取得しコンサルタントファームに転職、会計士でありながら経営戦略をメインに業務をしていて年収は1000万円を超えました。

 小学生のころから桜井さんは、買い物に行けば「店員」という仕事があり、学校には「先生」という仕事があるように、様々な場所で人の職業を意識するようになりました。どういう職種に需要があるかも目で追いかけていたのです。

 桜井さんは、中高の受験は志望校全落ち、大学はMARCH以下でしたが、このように小さいころから職業を意識したことで適職を見つけることに成功しました。

 ところが遠田さんのように、優秀だったのに適職がわからず、職業・企業選択に失敗、自分探しを永遠に続けて活躍できる仕事につけなかった人もいます。遠田さんは親の勤務先は知っていても、職業、業務内容などを全く説明できませんでした。

 仕事の愚痴を言う親、全く仕事の話をしない親、その差が子どもの職業選択に影響したのです。とはいえ、過保護すぎたり、親の影響が強すぎても混乱します。どんな関与が理想的なのでしょうか。