「母親のアドバイス」は要注意
以上を踏まえて、親はどのような形で子どもに向き合うのがいいのでしょうか。
親が主導するのではなく、サポート役に徹しながらアドバイスをするほうが有効だという研究結果もあります。情報収集に役立ち、うまくサポートすることで子どもの自信につなげていくのです。
親自身が自分の仕事を好きでなく、家庭を支えるため、お金のためだけに働いている場合、アドバイスの視点が足りないこともあるかもしれません。そうなると、子どもは職業選択への自信がつかないままで、進路の決定を先送りにしがちになります。
反対に、過保護な親の場合は、特定の職業のみを具体的に口に出すことが多いようです。
親が何気なく毎日のように「~の仕事についてほしい」「~の仕事がいいんじゃない」などと口にしていることは、過剰な期待、圧力をかけていることになり、逆効果ということもわかっています。
子どもが自分と同じ職業を選択してくれることを期待していても、圧力をかけるのはNGです。コロナ渦でレジリエンス力がなくなっていて、失敗を恐れる子どもが増えた今、思っている以上に“親の口出し”は子どもにストレスをかけやすくなっているからです。
仕事の会話を増やすことは大事ですが、親は自分の意見を言わずに、ただ、ひたすら聴くことに徹し、必要なら一緒に情報収集をするという程度が望ましいでしょう。
両親といっても、とくに母親のアドバイスには注意が必要です。というのも、父親のあり方は子どもに大きな影響をほとんど与えないものの、母親から職業に関する指示が多すぎと、子どもにネガティブな影響を与えるという調査結果があるからです。
さらに同性の影響は大きく、男性の場合は父親が主な相談相手となることが多いということもわかっています。親としては影響力が大きくなりすぎないように同性の子どもにはあえてサポート役になることを意識するといいでしょう。
では、話だけではなく、実体験をさせるにはどうしたらいいのでしょう。