経済学に「ネットワーク外部性」という論点がある。ネットワークという語から、インターネットが普及した20世紀後半からの論点のように聞こえる。ただし、「外部性」という概念は古くから議論されているものなので、ネットワーク外部性に新規性があるわけではない。

 ネットワーク外部性は、通信手段でたとえられるケースが多い。世界でたった一人だけ、メールアドレスや携帯電話を所有していても、その人は誰とも情報交換することができない。メルアドなどの利用価値はゼロである。

 2人以上の者がメルアドを持つことによって、ネットワークの利用価値は飛躍的に増大する。そこに何故、「外部性」が働くのかは、本コラムの趣旨を離れるので専門書に譲る(『クルーグマン・ミクロ経済学』635頁以降)。

 ネットワーク外部性は、メルアドや携帯電話の例に限らず、広く存在する。本コラムでは、ネットワーク外部性を利用して、2012年後半以降、「爆発的ブーム」を巻き起こしているガンホー・オンライン・エンターテイメントを取り上げる。

 エンターテイ「ン」メントではない点に注意したい。金融庁の「EDINET」で検索するときは、留意すべき事項である。

 以下では「ガンホー」と略する。社名が、アメリカ海兵隊の掛け声「ガンホー!ガンホー!ガンホー!」に由来するのは、よく知られているところだ。

時価総額で他を圧倒するガンホー

 最初に株式時価総額のランキング表を〔図表 1〕に示す。上段の順位は、ジャスダック市場におけるものである。

 〔図表 1〕を見ると、ガンホーはJCOMやマクドナルドを押さえ、楽天に次ぐ第2位にまで躍進している。同じゲーム業界で覇を争うDeNAやグリーの時価総額を凌駕し、任天堂をも超えてしまった。

 ガンホーが躍進したのは、2012年2月から配信を開始した「パズル&ドラゴンズ」(以下「パズドラ」と略す)にある。オンライン・ゲームに疎(うと)い筆者であっても、パズドラは確かに面白いという印象を持つ。

 縦5マス、横6マスに6種類のコマが並んでいて、プレーヤーはスマホの画面を指でなぞり、コマを移動させる。カードをめくって勝敗を決めるバトルゲームではなく、ドロップと呼ばれる同じ色のコマを揃(そろ)えていくパズルゲームである点が特徴だ。