好きなことに夢中になっていれば
自然と「かわいさ」をまとえる

 偉い人ほど偉ぶらないのは、研究者だけではありません。

 新国立競技場の建設などで有名な建築家の隈研吾さんも、いつお会いしても、まるで夏休みを楽しむ小学生のようなところがあります。

書影『60歳からの脳の使い方』(茂木健一郎、扶桑社)『60歳からの脳の使い方』(茂木健一郎、扶桑社)

 以前、僕が運営に関わっている高校の新校舎予定地を隈さんが訪れた時、大勢のスタッフがいるにもかかわらず、隈さんが率先し、まっしぐらに茂みの中に突き進んで行く姿が印象的でした。

 あの大先生が子どものようにワクワクしてどんどん進んでいく姿が本当にかわいらしかった。

 その様子を撮影した動画からは、隈さんの姿がまるで『となりのトトロ』のサツキとメイが森の中を駆け回っているような若々しさすら感じられたのです(YouTubeにアップしていますので、ぜひ興味のある方は見てみてください)。

 大切なのは、無名であろうと有名であろうと、自分の好きなことや興味のある対象に夢中になっている人はみんな誰しもかわいらしいのです。

 目の前に何か興味を引くことがあった時、ためらったりもったいぶったりせず、素直に「うわー!」と好奇心のままに飛び込んでいく。そんなかわいいシニアを目指してほしいと思います。