YOASOBIの紅白出場無しは
タトゥーのせいだった?

 タトゥーは、やっぱり実際目にすると身構えたり緊張させられるし、人によっては見ただけで強い不快感を覚えることもある。普段タトゥーと無縁で生活している一般人にとって、タトゥーは日常の中に急に表れる不穏の象徴といって差し支えない。

 だが、10〜20年ほど前の日本人のタトゥー観は、どちらかというとタトゥーを受容する方向で努力されていた。「タトゥー=ヤクザ」の固定観念からの脱却が図られていたのだと思うが、「海外ではタトゥーはファッションで当たり前だから、そんなに目くじらを立てるのはどうか」という切り口で、タトゥーに拒絶反応を示す方が野暮・狭量という論調がまかり通っていたのである。

 確かにその感性を備えることができれば、もはやタトゥーに緊張したり怯えたりする必要はなく、人と人との輪も広がるしよさそうではあった。

 しかし体感だとここ数年、今度は「海外でタトゥーは当たり前、というのは嘘。基本的には日本と同じで、入れる人はお察し。少なくともホワイトカラーは入れない」という言説をちらほらと聞くようになり、やがてタトゥーの話題の折には必ず聞くくらいになった。

 そして今である。あいみょんはびっくりしたと思う。あいみょんきっかけで浮上してきたトピックではあるが、ここまで世論がタトゥーに厳しいとは予想していなかったに違いない。知る限りでは、国内の反タトゥーの気運はこの半世紀で現在がもっとも強いように思える。

 首までタトゥーが入っているYOASOBIのAyaseがたくさん地上波に出ていたのでタトゥーは世間的に許されたのかと思っていたのだが、むしろその時にした我慢が限界に達して、今こうしてタトゥーへの不満として噴出しているのだろうか。

 ちなみにYOASOBIが2024年の紅白に出場しなかったことについては「AyaseのタトゥーがNHKに問題視されたからでは」と特に今さかんに言われているが、反タトゥー色が強い現時点ではメディアが主観を前に出して発信を行っているので、偏らない賢明な判断をするには今少し慎重に事実を見極めていく必要がある。