今回のデリカミニは、評価が高いアウトドアテイストのデザインをさらに深化するとともに、機能的で高品質なインテリアの採用や走行性能の強化、先進運転システムの刷新などを図ることで、スーパーハイトワゴン市場での拡大を狙う。価格は約195万円~約295万円で今年秋発売を予定する。

 日産は24年度の国内新車販売46万台のうち、軽自動車が18万台と4割を占めており、国内販売を強化する中で新型ルークスへの期待は大きい。また、三菱自も、キュートなフロントフェースでデリカミニの人気が高まっていることから、今回の新型モデルの投入でさらなる増販に結び付けたい考えだ。

 軽自動車市場ではスーパーハイトワゴンが5割超のシェアを占めているが、この分野で根強い人気を誇るのが、ホンダの「N-BOX」、スズキの「スペーシア」、ダイハツ工業の「タント」の3強だ。ルークスとデリカミニ・eKスペースの新型車は、それぞれこの牙城に挑むことになる。

合弁企業で開発した兄弟車
日産と三菱自の“共闘”

 筆者は、今回の新型車発表を見て、両社の“共闘”の重要性や結び付きを改めて認識した。

 そもそも、日産と三菱自は、11年6月に設立された両社の折半出資による合弁会社NMKVを通じて、軽自動車の開発・生産の協業をこれまで進めてきた(社名はNissan Mitsubishi Kei Vehicleが由来)。本社は神奈川県厚木市の日産テクニカルセンターに置き、実際の生産は三菱自の岡山県・水島製作所で行っている。

 NMKVによる軽自動車として近年話題を集めたのが、22年6月に発売された軽BEV(バッテリーEV)の日産「サクラ」と三菱自「eKクロスEV」だ。日産も三菱自も、それぞれ「リーフ」「i-MiEV」といったEVを市場で先駆けて販売しており、両社の得意とするEV技術を結集させて商品化したのがこの軽BEVだ。話題性だけでなく、22年にはカーオブザイヤー3冠を独占するなど、高い評価も集めた。

 今回のルークスとデリカミニ・eKスペースも、NMKVが開発し、三菱自の水島工場で生産されるもので、基本構造などが共通の、いわゆる“兄弟車”だ。サクラ、eKクロスEV同様、共同開発でコストを下げつつ、それぞれ日産ブランド・三菱ブランドで国内販売網に供給されるものとなる。

 なお、日産は02年にスズキからのOEM(相手先ブランド供給)による「MOCO」で軽自動車市場に参入したが、その後、三菱自からのOEMに切り替わった経緯がある。ちなみに、トヨタは11年にダイハツからのOEMで軽自動車市場に参入しており、現在は乗用車8社全てが軽自動車を販売している(スバルとマツダは自社生産だったが、現在はOEM供給に切り替えている)。

 新車市場全体を見ても約4割が軽自動車であり、それだけ国内自動車市場は地方を主体に軽自動車の比重が大きくなっている。メーカー別国内販売では、トップのトヨタに続くのがスズキで、軽が主力のメーカーだ。かつてトヨタとトップシェアを競っていた日産は、いまや5位に転落している。