コールド・ストーンとは違う
サーティワンの強みとは?

 アイスクリームチェーンには他にも、コールド・ストーン・クリーマリー(以下、コールド・ストーン)やブルーシールなどがありますが、コールド・ストーンは最盛期の34店から2025年5月時点で1店まで縮小、ブルーシールは全国48店舗(うち18店は沖縄県)と、北海道から沖縄まで1000店舗以上を展開するサーティワンとは規模も範囲も比較になりません。ハーゲンダッツも以前はショップを持っていましたが、2018年に店舗事業から撤退しています。

 サーティワンのビジネスモデルは何が違うのでしょうか。同じ米国発のコールド・ストーンと比較しながら、その成功要因を探ってみましょう。

 ご存じの方も多いと思いますが、サーティワンは、30種類を超えるフレーバーを常時備え、「選ぶ楽しさ」を提供することを特徴としています。

 一方のコールド・ストーンは「歌うアイス屋」という異名があり、顧客の目の前でアイスとトッピングを混ぜ合わせながら、店員が歌うパフォーマンスを披露する、ライブ演出型のスタイルで話題を集めました。2005年の日本上陸当初は、そのユニークなスタイルが注目を集め、最盛期には大行列ができるほどのブームとなりました。

 どちらも「店舗で提供されるアイスクリーム体験」を重視する点では共通しています。しかし、その体験の質と、それを支えるビジネスモデルの構造的な違いが、結果を大きく分けました。

 サーティワンの体験は「選ぶ楽しさ」という日常でのちょっとした高揚感であるのに対し、コールド・ストーンは、目の前での調理、店員の歌といった派手なライブパフォーマンスが中心です。

 また、サーティワンは核となるフレーバーをセンターで効率よく作り、標準化したオペレーションとフランチャイズシステムでそれを広く展開するモデルを確立しました。このモデルは、高い再現性と資本効率性を併せ持ち、全国1000店舗という規模を可能にしました。