そもそもグローバル市場でのスポーツの放映権料は高騰しています。

 WBCの前回、2023年の国内放映権は30億円程度だったと推定されています。その大会では日本代表の活躍に日本中が熱狂し、最終打席が大谷翔平とトラウトの一騎打ちとなった決勝戦のテレビ朝日の視聴率は42.4%(関東地区、ビデオリサーチ調べ)を記録しました。

 前回のWBC世代の顔触れのうちダルビッシュ有、大谷翔平、山本由伸、今永昇太、松井裕樹、佐々木朗希、吉田正尚、ヌートバーは今期のメジャーリーグでも活躍しています。

 さらにメジャーには前回は出られなかった鈴木誠也や千賀滉大、菊池雄星、菅野智之、小笠原慎之介もいます。日本のプロ野球のスターたちとメジャーリーガーが集結することができれば、2026年のWBCは前回以上の注目を集めそうです。

 とはいえ、WBC全47試合のうち、コンテンツとして日本の視聴者に人気なのは日本戦だけ。仮に前回同様に日本が決勝戦まで勝ち進んだとしても、7試合に対してネットフリックスが支払う推定150億円の放映権料は割にあうのでしょうか?

 テレビ朝日やTBSなどの地上波のビジネスモデルでは、この金額になるとはっきり言って採算が合いません。一般的にテレビ番組の制作費は普通の1時間番組で1000万円前後、高視聴率のドラマや大型バラエティ番組で数千万円から上限で1億円というのが相場です。

 前回のWBCの放映権が7試合で30億円だったとすれば一試合あたり4億円強。それを4時間番組ぐらいにひっぱりにひっぱったとしても、これが日本のテレビ局が世界的なスポーツイベントに出せる金額の上限でしょう。

 その前提で今回の放映権を考えます。ネットフリックスが47試合を独占するといっても、日本が出場しない40試合の放映権の価値は一試合あたりせいぜい数千万円の下の方だと仮定します。合計で150億円の放映権料を支払うのであれば日本戦の分は140億円、一試合あたり約20億円の投資と考えるのが妥当です。