さて、なぜフィンランドではコーヒーブレイクの時間を大切にしているのでしょうか。
ほとんどの会社には「コーヒールーム」と呼ばれる、コーヒーブレイクを取るための部屋があります。数十年前までの設計だとキッチンのような部屋にテーブルや椅子がおいてある割と小さめの部屋が一般的でしたが、近年はどの方向からも入りやすいオープンスペースで、ハイテーブルなどで立ち話ができるスペースが増えている印象があります。

コーヒーブレイクが
イノベーションにつながる?
仕事とプライベートが同じぐらい重要とされているフィンランドでは、勤務時間外に行う日本の飲み会のような文化はなく、仕事が終わったらすぐに帰る人が多いので、コミュニケーションを他のかたちで取ることになりますが、そのツールがこのコーヒーブレイクです。家族がいる人でも夜に学校に通いたい人でも、仕事の合間にコミュニケーションを取っていれば、仕事の後の時間をフルで活用できます。
そしてコーヒーブレイクにはもう一つの大きなメリットがあります。コーヒールームに行った時にたまたまそこに来ていた普段会わない同僚や、他部署の人などとアジェンダのない会話に花を咲かせると、新しいアイデアが思い浮かんだり、さまざまな協力が生まれたり、イノベーションにつながるという研究結果さえあります(*2)。
(*2)Pajuoja, Maria(2022)From mechanistic measuring to up-to-date understanding:Problematising the study of innovative work behaviour.
