
日本経済が世界のトップを走り企業に活力があったバブル時代、会社員の夢は課長から部長、さらに役員へと、出世の階梯を登っていくことだった。リーダーになることにやりがいを感じ、誇りを感じた。だが今、管理職にはなりたくない、出世は不要だと考える社員が多数を占めている。それは、なぜなのか。解決策はあるのだろうか。※本稿は、高橋克徳『静かに分断する職場 なぜ、社員の心が離れていくのか』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を抜粋・編集したものです。
罰ゲーム化した管理職は
多くの若手が願い下げ
管理職をめぐる最大の問題は、今の管理職、マネジャーが魅力的な存在になっていない、むしろ誰もなりたくない存在になっているということです。
自分の仕事だけでなく、一人ひとりのケアとサポート、組織成果の追求をリードしなければならない。
しかも、管理職になると残業代も出ない。個々の事情で早く帰る人がいて誰もフォローできなければ、あるいはトラブルがあっても他の人が忙しければ、すべて管理職が引き受けなければならない。会議への出席、職場内の調整、手続きの申請、承認、管理などいろいろなことに追われる。時間的にも体力的にも過剰な負担を強いられる中で、イライラする上司、落ち込む上司ばかりをつくってしまう。
この状況を見て、職場のメンバーは管理職に、どのように向き合っているのでしょうか。大変だから上司を支えようとしているのか、上司なんだから当たり前だと傍観しているのか、むしろ自分への対応や支援がおろそかになっていると不満を募らせているのか。