充実した人生のために
必要不可欠な「休み」

 フィンランド人に6月末か7月ぐらいにメールをすると、このような自動返信メールが返ってくることは珍しくありません。「8月10日まで休暇です」。

 フィンランドでは、1年の中で日照時間がもっとも長い6月下旬の夏至の日を思いっきり祝った後に夏休みに入ることが一般的で3週間程度、さらには1カ月以上の休暇を取る人もいます。

 そして、この自動返信メールに「申し訳ございません」や「休暇をいただく」という言葉は見当たりません。なぜなら、休暇は申し訳ないことでもなければ、頭をさげて誰かに許可をいただくものでもないからです。

 長い人生を送るためには、仕事の他にも、家族、趣味などどれもが大切なことで、生活と仕事の質を維持するために休暇を取ることは重要だと考えられています。

 休暇に対する考え方は日本では仕事におけるお昼休みを想像するとわかりやすいと思います。例えば12時前後に「お昼を食べに行きます」ということは、頼みづらいことでも謝ることでもないかと思いますが、フィンランドにおける休暇の取得は同じような感覚です。

 ちなみに、休暇申請する時には理由が要りません。「休んでいいですか?」の一言で十分です。その理由を問われることはありません。

 では、なぜ3週間以上の休暇がよいとされているのでしょうか。

 休暇に入ってからの1週目はなんとなく仕事のことを考えてしまいますが、2週目はだいぶ休みモードになり、心身ともにリラックスします。そして休暇が3週間、4週間と続くと、もういい、仕事に戻りたい!という気持ちが生まれてくる人が多いので、いざ仕事に復帰したら、効率やパフォーマンスがとてもよくて、休暇が仕事にいい影響を与えます。充分な休暇を取った社員は再び真面目に仕事に励みます。

 では、フィンランド人は夏休みのような長い休暇の時に何をするのか。一番フィンランドらしい夏休みの過ごし方はサマーコテージで過ごすことです。サマーコテージとは、その名の通りに、夏の時期を過ごすコテージのことですが、多くの場合、日本でいうセカンドハウスや別荘とはだいぶ違う生活スタイルです。