10月から「サトウのごはん」も値上げへ

 8月25日の週、国内のコメ平均小売価格は3891円/5キロだった。前週比115円(+3.0%)の上昇だ。販売実績に占めるブレンド米(備蓄米含む)の割合は39%に低下した。

 日次データ(9月2日時点)で見ると、小売り米の5キロ当たりの価格は4059円に上昇した。8月下旬以降の価格上昇ペースはかなり急速だ。

 備蓄米に限ると、9月2日時点での価格は2033円だった。随意契約に基づく放出により7月~8月後半にかけて備蓄米の価格は緩やかに下落した。8月下旬には一時、5キロ当たり2000円を下回る局面もあったが、その後、価格は上昇基調だ。

 一方、8月25日の週の銘柄米は4272円と前週から変化はなかった。販売に占めるウエートは61%と、備蓄米を上回る状況が続いた。備蓄米の放出により、6月上旬以降は銘柄米の価格は下落したが、7月後半以降、価格は再び緩やかに上昇している。

 9月2日時点で銘柄米は4346円に上昇した。銘柄米の新米価格が想定以上に上昇しているため、国内のコメ小売価格全体が引っ張られた格好だ。

 コメ価格が再上昇する中、政府の備蓄米の供給は思うように進んでいない。コメを安く買いたいと思う消費者は、備蓄米が並んだスーパーでブレンド米を買い求めるケースが多い。その結果、全国に備蓄米が行き渡る状況にはなっていない。それに加えて、新米の価格上昇が、コメの小売価格全体を再び押し上げている。

 コメの価格上昇ペースは、賃金の上がり方よりはるかに早い。家計を少しでも節約しようと、「パックご飯」を買う消費者が増えているようだ。

 それは、パックご飯大手・サトウ食品の業績から確認できる。同社の5~7月期決算で、パックご飯の売上高は前年同期比18%増加した。なお、袋入り餅の売上高も同20%上昇した。同社では、原材料であるコメのさらなる価格上昇を見据え、10月1日の出荷分から「サトウのごはん」を11~17%値上げする方針という。外食業界でも、コメの値上がりに悩む事業者は増加傾向にある。