「どの業界も資材や燃料が上がっているなかで、いろんな工夫や企業努力で価格を低く抑えているのに、コメ農家の人たちってそういう発想ゼロなの?」
もちろん、コメ農家の皆さんが常軌を逸した低賃金重労働をしていることは日本人なら百も承知だ。その苦労には頭の下がる思いだし、コメ農家の皆さんが正当な対価を得られるように願わない者はいないだろう。
ただ、多くの人がモヤモヤするのは、そういうコスト面の問題をスケールメリットで解決したり、新たな付加価値を生み出して価格転嫁させたりしていくことが「仕事」というものではないか、という点だ。そうやって競争力を高めていくことは、ビジネスでも農業であっても基本的に変わらないはずではないか。
実際、海外のコメ農業に関わる人々を見ると、「コンバインが2000万円もするんで販売価格が高くてもガマンしてください」などと消費者に対して開き直るケースは少ない。
わかりやすいのは、日本のコメ価格高騰を「商機」と捉えたアメリカだ。今年6月、NHKがカリフォルニア州のコメ農家をこうレポートしている。
《カリフォルニア州のコメ農家の平均的な耕作面積は161ヘクタールと、日本の約80倍です。大規模化などによって、生産コストは日本の7分の1になっています》(NHK コメ高騰 海外の産地が日本に熱視線 6月4日)
最近アメリカに行った人はわかると思うが、かの国の物価高騰は日本など足元にも及ばない。ちょっとランチをしただけで日本円で5000円くらいかかるのだ。
そんな資材価格が爆上がりの国のコメ農家なのだから、日本のコメ農家のようにさぞコスト高に苦しんでいるのかと思いきや、大規模化やドローンや衛星データなど最新技術の活用で、生産コストを安く抑えているのだ。
こういう“企業努力”もあってカリフォルニア米は競争力を高めている。先ほど某ホームセンターで売られていた「カリフォルニア産カルローズ」を見たら、税込2894円で売っていた。
同じく日本産の2~5割の水準で販売されているベトナム産ジャポニカ米もしっかりと「企業努力」をしている。