資料が頭に入らないのは
知識や経験が足りないだけ

 今振り返ると、私には3つの誤解がありました。

誤解1:分からないのは思考力の差だと思っていた

 同じプロジェクトで働く先輩やクライアントの言っていることが分からない。それは思考力の差ではありません。知っているか知らないのかだけの話です。

 目の前で起きていることを理解するための知識や枠組みが頭に入っていないからです。

 ほかの人が分かっているのは、以前からそのテーマに取り組んできたことがあるからです。それは知識や経験の差です。はじめてのテーマだから、分からないのは当然です。

 また、分かったつもりになっている人もいます。分かったつもりになるくらいなら、分からないことを認めて、分かるように努力するほうが、よっぽど立派です。本当に分かっている人は少ないです。

誤解2:すぐに分かると思っていた

 私は、プロジェクトに入ってすぐに状況がつかめていない自分はダメだと思っていましたが、それも誤解でした。私は、何ごともすぐに理解できると過信していたのかもしれませんが、分かるには時間がかかります。

 また、自分が理解できたときには、分からなかったときの自分のことを忘れてしまいます。

 上司や先輩も最初は分からなかったのに(くせに)、ほかの人にも自分と同じ理解を求めてきます。上司や先輩とは経験が違うのに……。分かるためには時間がかかります。

誤解3:資料を読んでいれば理解できると思っていた

 テーマに関する資料は、大量に存在します。社内の資料だけでなく、ネット上にも情報があふれています。私は、1時間、2時間……半日、1日と資料を読んでみました。でも、全然頭に入ってきません。なぜなら、自分の頭で理解していないからです。

 分からないときに、私はとても焦ってしまう人間です。「どうしよう!どうしよう!」と……。

 過去の私に、こんな声を掛けてあげたいです。

「最初は分からないのは、知識や経験の差だよ」
「状況を把握するには、時間がかかるよ」
「資料を読むだけでは理解は進まないよ」