これまでは安全運転ができていたけれど、そのときだけ事故が発生してしまった。だから、そのときできていなかったことを直す。つまり、「絶対的な課題」が存在します。

ビジネスの現場では
絶対的な課題は存在しない

 では、一般的なビジネスの現場では「絶対的な課題」は存在するのでしょうか?

「売上を上げるための課題は?」「利益を増やすための課題は?」。こういった場合の課題は相対的な存在であると考えたほうが合理的でしょう。

 とくに「見えていない問題」を発見する際には、この点を意識する必要があります。

「見えている問題」の場合は、問題が明確になっています。そのため、その問題がなぜ起きてしまったのかを探り、課題を明らかにします。

図表:課題を考えるポイント課題を考えるポイント(同書より転載) 拡大画像表示

 問題が起きた際、その問題が起きたのは、はじめてではないことも多いでしょう。過去に似たような問題が起きた際にも、対策が講じられたはずです。

 でも、また問題が発生してしまった。「なぜ、その問題がまだ解決されていないのか(why not yet)」を考える必要があります。課題を明らかにする際には、「今回はなぜできていなかったのか」という原因となる事実を探します。

・本来はできているはずなのに、今回はなぜできていなかったのか?
・これまではできていたのに、なぜ今回はできなかったのか?
・対策を講じたのに、なぜ今回も問題が起きてしまったのか?
・競合はできているのに、なぜ自社はできていないのか?

 これらの問いに答える強力な事実があれば、帰納的にまとめたとしても説得力があります。

見えていない問題を
原因と特定するのは至難

 一方で、「見えていない問題」の場合はどうでしょうか?

 明確な問題が存在するわけではありません。このタイミングで、これが「絶対的な課題」だと言われても、説得力はありません。