ブリヂストン リストラ後の跳躍#2Photo:filo/gettyimages

ブリヂストンは、ROEとROICを「最重要経営指標」としてそれぞれ目標値を定め、調整後営業利益率は12~13%を目指している。しかし、2024年度決算では、全項目で目標値未達であった。こうした経緯もあり、石橋秀一CEOは25年を「緊急危機対策年」と位置付けている。ところが目標未達にもかかわらず、株価は上場来最高値を更新している。特集『ブリヂストン リストラ後の跳躍』の#2では、業績が好調とはいえないにもかかわらず、株価が好調となったカラクリを明らかにする。(ダイヤモンド編集部 山本興陽)

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「緊急危機対策年」と警鐘中でも株高
投資家の期待を剥落させないためのカギとは?

「2025年は、緊急危機対策年だ」――。

 ブリヂストンの石橋秀一最高経営責任者(CEO)は、こう社内外に発信している。警鐘を鳴らす理由は、「最重要経営指標」の目標未達だ。

 ブリヂストンの最新の統合報告書には、石橋CEOのメッセージとして、「(24年度決算は)調整後営業利益率や最重要経営指標であるROIC(投下資本利益率)、ROE(自己資本利益率)において、対外発表にてコミットしたレベルは未達の結果となりました」と記されている。

 24年3月に、中期事業計画(24~26年)を公表し、24年度通期見込みとして、ROE10.6%、ROIC9.4%、調整後営業利益率12%を計画した。だが、実績値は、ROE8.1%、ROIC8.2%、調整後営業利益率10.9%と全てで下回った。

 計画を下回る経営指標とは裏腹に、経営者の“通信簿”である株価は絶好調だ。9月19日に株価は7098円を付け、上場来最高値を更新した。

 業績が好調とはいえず、経営トップが「緊急危機対策年」と警鐘を鳴らす中で、株価が絶好調なのは不可解に思える。

 次ページ以降では、市場関係者への取材や、石橋CEOへの直撃取材の結果を踏まえ、ブリヂストンの株価の好調のカラクリを明かす。