「ディズニー超え」が視野に入るソニーの現状
ソニーグループのゲーム・音楽・映画の収益力は上昇基調にある。25年4~6月期業績を確認すると、この3事業は営業利益を伸ばしている。26年3月期通期の営業利益(国際会計基準)予想も上方修正した。金融事業を除くベースで営業利益は1兆3300億円(前期比4%増)に達する見通しだ。
この10年でソニーの事業戦略は大きく変化してきた。元来ソニーは海外のコンテンツを取り込み、それを国内外に供給してきた。1989年のコロンビア・ピクチャーズの買収はその代表例だ。しかし海外映画事業の不振もあり、現在は、国内のコンテンツを世界に供給することを重きに置いているようだ。
ソニーが参考にしてきた企業の一つに、米ディズニー社が挙げられるだろう。ディズニーはピクサーなどの買収を通して知的財産を拡充し、映画の作成や動画配信、テーマパーク運営と結び付けている。デジタル化やテレビ離れにもうまく対応してきた。
ソニーも、コンテンツを活用したリアルとデジタルの両面で、需要者との接点の増加に取り組んでいる。象徴的だったのは、21年の米クランチロールの買収だ。クランチロールは、フィギュア・マンガ・ゲームなど、アニメファンが欲しがるものを一括提供する戦略を取る。もちろん動画配信も行う。クランチロール買収でソニーは、世界のアニメファンにリーチし、新たな需要創出に必要なデータを確保する足場を築いた。
また、22年にはタイでコロンビア映画のテーマパークを開業した。国内では「ロケトーン」ブランドで、観光名所でアニメの世界にいるような音響体験を味わえるサービスを提供している。
年初来の株価の上昇率は、ディズニーが2.39%に対してソニーは29.29%