自分の気持ちをストレートに伝え
同じ熱量の主張を求めてくる
相手が注文する料理をパパッと先に決めたので、私が悩みながらなんとなく「他に食べたいものある?よかったらシェアしながら食べようよ」と言ったら明らかに怪訝(けげん)な顔をされた。
「私は私が食べたいものを食べる。あなたはあなたが食べたいものを食べる。それだけ!」
あとから知ったのだが、フランスでは料理をシェアするという考え方は一般的ではないらしい。最近ではシェアする前提のレストランやカフェもちらほらできているのだが、スタンダードな考え方は一人一皿メインを注文する。たとえ同じ料理が食べたかったとしても、同じ料理を人数分注文する。
牛肉のステーキやマルゲリーターピザなど、シェアしたくない!?と思うような料理も、食べたい人が一皿ずつ注文する、ただそれだけらしい。
とにかく、フランス人は主張が激しい、と私は感じる。自分がどうしたいか、何をしたいか、何を考えているかを、相手へストレートに伝える。
そして、自分だけでなく相手にも、同じ熱量の主張を求めてくる。だから私が黙って頷いているような態度や、相手の気持ちを最優先するような行動をとると、気に食わないのだろう。
女性トイレが満員で
待っていたその時
ほっといてくれよ……と思うことはかなりある。良くも悪くも、おせっかい。その事実を、私の友人だけの話だと思い込んでいた私は、アプリを通じてこれがフランス人のスタンダードということを知った。
偶然に街中で出会う人でもそう。先日駅の公衆トイレを利用しようとしたとき、女性トイレが満員だったため外で待っていたら、清掃のおばさんに話しかけられた。
「なんでトイレに入ってすぐ出てきたの?」「満員だったから」「男性トイレに入ればいいじゃない」「いや私、女性です」「そんなの大したことはないわ!」「いや……でも……」「トイレに行きたいなら今すぐ行きなさい!トイレに行きたいんでしょ!?ほら、ついていってあげるから入りなさい!」と、瞬く間に男性トイレへと誘われた――。