私たちはつい結果だけを追いかけがちです。しかし、仕事というのはプロセスにしか努力ができません。

「結果がよければ、すべてよし」ではなく、結果はどうなるかを心配することから離れて、「プロセスがすべて」だと心得ましょう。

 たとえ結果が出なくても、気にすることはありません。

 プロセスを検証して、次の機会に改善していけばいいだけのことです。

 いずれすばらしい結果が出ます。そこは自分を信じようではありませんか。

「双方ハッピー」をとことん追求する

 何事につけ、「損得勘定」をすることは、ビジネスでは大切です。そもそも損すると思うことを、好んでやる人はいないでしょう。

 ただし「自分」にだけ限定すると、話は違ってきます。

「自分だけは損をしたくない」
「自分だけは得をしたい」

 ということを前提に、目先の「損得勘定」をしてしまうのです。

 そんなふうに「自分さえよければいい、他人のことはどうでもいい」的な考え方をして、物事がうまくいくわけはありません。

 自分だけのメリット・デメリットを離れて努力するからこそ、仕事も人生もうまくいくのです。

 大切にしたいのは、仏教でいう「利他(りた)の心」。

 相手に幸福になってもらうことを喜びとする。そういう「利他の心」があるからこそ、仕事も人生もうまくいくし、他人も自分も幸福感に満たされるのです。

「他人も自分も、お互いが損をしないようにするにはどうしたらいいか」
「他人も自分も、お互いが得をするにはどうしたらいいか」

 この二つの視点で考えるのが、本当の意味での「損得勘定」なのです。

 たとえば本づくりでも、出版社サイドのつくり手・売り手の人たちが「たくさん売って、たくさん儲けたい」と「損得勘定」しても、まず売れる本にはなりません。読者不在の、単なる「売れる路線狙い」のマーケティングになってしまうからです。「買って損した」と思われ、結果的に部数も伸びないでしょう。

 つくり手が一番大切にしなければいけないのは、読者の方に「買ってよかった」と思ってもらうこと。そのために読者の身になって、「苦しむ心に寄り添いたい」「新しい人生観を提案したい」といった思いを込めて本をつくる。それがご都合主義を離れて、つくり手と読者の両方がハッピーになれる「損得勘定」なのです。

 このように、相手のある仕事のときには、「こうすると、お互いにとってメリットが大きいですよね」と納得し合える方向性を探りましょう。気持ちよく仕事を進めることができます。