長い目で見ると、本当の損得がわかる

 いまふうにいうと、「損得勘定」の目的は「WIN-WINの関係」をつくること。一昔前は「勝ち負けをつける」ことが重視されましたが、いまは、

「一つの仕事に関係するみんなが喜べるようにする」

 ということが重視されています。

 これは何も新しい考え方ではありません。古くは近江商人の「三方よし―売り手によし、買い手によし、世間によし」の精神にもうたわれています。

「売り手と買い手が満足するのはもちろん、社会に貢献できてこそ善い商売だ」というわけです。いまはそれに二つの要素が加わって、「売り手よし、つくり手よし、買い手よし、社会よし、未来よし」の「五方よし」がビジネスの基本とされています。

目先の損得から離れると、仕事は好転する

 こうして「いい損得勘定」をするには、一つ、大事なポイントがあります。

 それは、「目線をちょっと先に延ばし、長い目で見て損か得かを計算」して、判断の基準とすることです。
「損して得取る」という言葉があるように、短期的に見ると損なようでも、将来的に大きな得になる、なんてことはよくあります。

 時代の先を見通して「これは化けそうだな」と思えるものには、最初のうちは損を覚悟で、先行投資をするといいでしょう。

 また仕事上のおつきあいは、できれば長続きさせたいものです。一時的な関係だと思う「自分だけ得して勝ち逃げしよう」みたいな損得勘定をしがち。長期にわたって利益を積み上げていくことはできません。

「長いつきあいになる」ことを前提に、長期的視点を持っておつきあいをしたほうが、「互いにメリットを得ながら、ともに業績を向上させていく」ことが可能になるのです。