その国勢調査だが回答率が最近低調であると懸念されていて、インターネット回答の途中経過を見るところ今年も低そうとのことである。その原因については近年の個人情報意識の高まりや、国勢調査への理解の不足などが関係していると指摘されている。

 そもそも国勢調査とは何か。これは人口の実態を調べるための調査である。

回答が得られなかった場合は
調査員が「聞き取り」

 市区町村が住民票をまとめて管理する住民基本台帳が近い役割を担うが、国勢調査の方がより実態に近く迫れる。たとえば2020年の京都市では住民基本台帳約140万人に対し、国勢調査で146万人と出た。京都市は学生が多く、住民票を移さず生活する学生もまた多かったからゆえの誤差であったという(毎日新聞・9月19日付け記事を参考)。

 そのほか、産業・職業別の就業者数や、昼と夜の人口差も国勢調査で調べることができる。

 そうして集められたデータは実に広く利用される。子育てや福祉、防災などの広い意味での街づくりや、企業の進出・出店計画のほか、地方交付税の算定、衆院選小選挙区の区割りにも用いられる。だから国が公式に当てにする結構由緒あるデータといえる。

 先に「近年回答率が低迷」と書いたが、回答が得られない世帯の急増も懸念されている。

 回答が得られない世帯はどうするかというと、調査員が近隣からの聞き取りや自治体で持っている情報を利用したりして得られなかった分の回答を補足せねばならず、これを「聞き取り調査」という。この聞き取り調査は1995年には0.5%だったが2020年には16.3%になったという(前出の毎日新聞記事を参考にした)。

 特に東京都での聞き取り調査率が高く、2015年は30.7%だったそうである(2020年は非公表)。これには、

・単身世帯が増えた(複数世帯に比べインターホンに応じにくい傾向)

・オートロックのマンションに住む世帯の増加(オートロックは調査員がアクセスしにくい)

 などの理由が指摘されている。