軽EV発売は2026年後半の見込み、すでに日本の公道で実装実験中
BYD Auto Japan 代表取締役 東福寺厚樹さん(以下、東):軽規格のEVを売るのは本当の話です。来年の後半発売を目標に動いています。すでに日本の公道でカモフラージュを施した実走試験を進めていて、街中の細い路地やコンビニの出入り、月極駐車場のバックゲートなど、コツコツと一つずつ日本ならではの場面を検証しています。
F:なんと!すでに日本で走行実験を行っていると。中国本土で売っている既存のクルマを流用して、それを日本向けに仕様変更するという流れですか?
東:いえ。今回は完全に新規開発です。向こうの小型EVを短縮して持ってくるのではなく、日本だけのためにゼロから造っています。またこれを中国で売る予定もありません。軽規格に収めるには、単に全幅や全長の数字だけではなく、回頭性や視界、実際の駐車環境まで日本の事情に合わせる必要があります。そのため設計段階から、日本での使われ方に照準を合わせています。
F:何しろ日本で売れている乗用車の4割が軽という大きなマーケットですからね。それにしても、新規で軽専用の型を起こすというのは大胆な判断です。既存の“小さいEV”を日本に転用するのが近道ではないかと思うのですが、そうしなかったのはなぜでしょう。
既存車の流用ではなく、軽EVを新規開発する理由
東:よく「日本に持ってきたらいいんじゃないか」と名前が上がるシーガル(海鴎)なんかでも、日本でいうところの“3ナンバー”になっちゃうんですよ。車幅が1715mmなので、日本に持ち込むと軽どころか5ナンバー枠にも収まらない大きさです。
あれを軽に造り直すのは現実的ではありません。今のBYDのポートフォリオには、5ナンバー車が1台もない、というのが実情です。ですから、軽という“箱”に合わせるには、いちから造るのが1番の近道だったんです。
