ネガティブな制約を
チームワークに昇華するコツ

 僕は、この「制約主導アプローチ」は、チームビルディングにおいても大変有用だと考えています。

 その前提として重要なのが、制約を「できない理由」や「排除すべきもの」とするのではなく、「制約があるから、チームワークを発揮する必要性が生まれる」というマインドを持つこと。

 自身やメンバーの行動が制約によって影響を受けているのであれば、どうせならポジティブなアクションに変換させたほうがよいと思うのです。

 今ある制約を活かしたり、意図的に制約を設定したりすることで、具体的にはチーム内に次のような状態が生まれます。

(1)目標達成への認識と協力の必要性を共有
この目標を達成するには、メンバーで協力しないと無理だよね

(2)役割分担と責任が明確になる
私はこれをやるから、○○さんはこっちをお願い!/○○をできる人いる?

(3)コミュニケーションの活性化
この問題どうする?/そっちの状況はどう?/あなたの意見は?

(4)工夫と創造性の促進
相談していい?/何かいいアイデアはないかな?/まずはやってみよう

(5)相互依存と信頼関係の構築
このメンバーだからうまくいっているよね/○○さんなら任せて大丈夫

 これらの要素が相互的に作用することで、チーム内に「連動」や「連携」が発生し、チームワークへと昇華されていきます。

 制約はチームの力を引き出す「味方」である。まずはこのマインドセットから始めていきましょう!

個人に制約を与えて
チームに活かす3つの方法

 制約を設定することで、チームワークを発揮する機会をつくる――。

 ここでは僕が実際に、研修やワークショップで取り入れたことがある「制約主導アプローチ」の一部を紹介します。あくまでイメージしてもらうための事例なので、このアプローチをそのまま実践してね、ということではありません。

 制約の設定は「制約主導アプローチ」の本質を理解したうえで、チームやメンバーの状態に合わせてファシリテーション(編集部注/ファシリテーター型は、支援・促進的な指導を得意とするスタイル。成果よりもプロセスを大事にする傾向がある)の視点を持って行うので、正直なところ「さあ、あなたも今すぐ同じようにやってみて!」とは言いづらい概念ではあります。