全幅1830mm、大柄なクルマだが運転すると大きすぎるとは感じない

 ドアを開け、シートに座る。見晴らしをしっかり確保しつつ頭上は大余裕。視界はボンネット左右の終端が“見えすぎない程度に見える”程度で、車幅を把握しやすい。座面は最初に薄く受けて、その先を面で支えるタイプ。背もたれの肩口は立ちすぎず、長い移動でも肩が前に出にくい。ステアリングは縦位置の調整幅が広く具合がいい。

 右足をそっとアクセルペダルに載せる。電気のトルクが立ち上がり、車体が“前へ出る”意思を柔らかく示す。クリープがだらしなく伸びないので、細い路地や駐車場で神経質になる必要がない。一方で信号からの再発進で踏み増した際、エンジンの始動が一瞬遅れる場面がある。滑らかさの流れの中で時折発生する“薄い継ぎ目”。ボサッと流している分には気にならないが、粗探しモードで観察眼を前回にして走ると、「もうひと頑張り」という部分は残る。

 フォレスターの全幅は1830mm。クルマのサイズが年々大きくなる昨今では、もはや当たり前の大きさだが、都会の街乗りにはやはり大柄と言わざるを得ない。まあ、でもメインの市場は北米ですからね。これは仕方がないでしょう。全幅2メートルを楽勝で超えるF-150も今後来ることですし(笑)。

 ただし。見切りの良さと微舵の“ツキ”の良さがあるので、実寸よりも一回り小さく扱え、狭路の対向でも数字ほどの大きさは感じない。クルマは数値よりも仕立てなのだ。

高速道路とワインディングでの実力

 ステアリングは軽さの質がよく、ゼロ付近の当たりが実に素直だ。高速の合流では、狙った角度がスッと決まり気持ちがいい。また高速のレーンチェンジ時における“姿勢づくり”が非常に巧みだ。前後のロール配分が自然で違和感がない。かなりの速度でレーンチェンジを行っても、腰が先に動き、頭が遅れて付いてくる順番がキチンと保たれていて、身のこなしに無理がない。

 ただ、下道に降りて細かな荒れが連続する区間では二拍目にわずかな“ゆすり”が残ることがある。ここは調整の余地があるように思う。

 30~70km/h領域の加速は非常に良く整っている。回転の高まりと車速の伸びが揃い、ラバー感はゼロ。長く緩い坂を一定開度で登ると、やや高めの回転に固定されてしまう傾向がある。ここはどうなのだろう。プリウスもこうでしたっけ?

 ブレーキは信頼できる仕立て。初期が過敏に立たず、回生から摩擦への橋渡しは全く気にならない。停止直前のカックンは微妙ながらやはり出るが、まあこれも粗探しモード全開の試乗ゆえに気が付いたこと。普通に乗っていれば気にならないレベルだ。

水平対向ユニットの上に樹脂カバー、周囲には高電圧(オレンジ)ハーネスが走る。ハイブリッド化しつつも配索は整然としている水平対向ユニットの上に樹脂カバー、周囲には高電圧(オレンジ)ハーネスが走る。ハイブリッド化しつつも配索は整然としている Photo by F.Y.
スバル「フォレスター」「FORESTER(フォレスター)」の文字の上にスバルのロゴ Photo by F.Y.
スバル「フォレスター」スバル「フォレスター」下部 Photo by F.Y.
スバル「フォレスター」ラゲッジスペース。トノカバー装着時でも奥行きが確保され、四隅まで“実効面積”が使える Photo by F.Y.
スバル「フォレスター」サスペンション(フロント・ストラット)。コイルスプリングに入る色マーキングは、組立・品質管理のための仕様識別。ばね定数や左右・グレード差の取り違えを防ぐためのもので、走行中の荷重を示すものではない Photo by F.Y.

 それでは恒例の○と×を。