海外大学直接進学にも「渋幕・渋渋」の経験が生きる

――プレゼンの成果はいかがでしたか。

井上 無事に合弁が決まりました。校名は当初、早稲田シンガポール学院でという案でしたが、早稲田渋谷シンガポールで合意して、ビリーバンバンの歌った校歌もそのままとなりました。当時は100人ほどの卒業生のうち国公立大学に10~15人、早稲田大学には3~4人ほどが合格していました。早稲田大学の系属校となり、当初30人だった系列推薦枠は、卒業生の活躍のおかげで徐々に増え、現在では全員が進学できる数の推薦枠が付与されています。

 今考えれば、シンガポール校では生徒に学業を教えたことよりも、自身がその環境から学ばせてもらったことがとても貴重な財産になっており、その機会をいただいた田村先生には感謝の言葉しかありません。今回のMIの開設もこの延長上にあると思っています。

――“早稲渋”の誕生ですね。MIは、このシンガポールの学校がイメージに近いと。

井上 MIは帰国生・国際生の10人を含む70人で立ち上げます。確かに学年のサイズがシンガポール校に近いこともあります。以前、渋幕からNYのバークリー音楽大学に進学した生徒が、国際結婚して、たまたまご主人の母国であったシンガポールに在住していて、シンガポール校の音楽の先生をお願いしたことがあります。こうした渋幕のネットワークは、いただいた財産としてこれからも生かしていければと思います。今日もシンガポール校の30年前の卒業生から、校長就任のお祝いの胡蝶蘭がなぜか半年遅れで届きました(笑)。

――MIの学校説明会でも国際教育について保護者から聞かれることが多いのでは。

井上 学校説明会では、以下の3つの条件についてお話します。

 まずはファシリティーです。明星の府中のキャンパス内には、施設も設備も一般の学校で考えられるものはすべて整っています。今後、新たに学習センターの設立を企図しています。

 次いで教員です。26年は70人の募集に対して、新たに採用した10人程度の教員を充てます。特に力を入れているキーワードがグローバルで、ネイティブ教員も含め複数の国際教育のエキスパートが集まりました。グローバル教育はMI教育の柱です。

 そして、教育プログラムと授業カリキュラムです。これは私がこれまで経験してよいと思った内容と、構築してきた内容をすべて取り込んで作成してあります。これをしっかりと運用していきます。

――最後に、海外直接進学を希望する生徒への対応についてお伺いします。

井上 海外大学に直接進学したいという意思があるなら、そのためのプログラムも用意しますし、専門のコーディネータを個別につけて、TOEFLやIELTS(アイエルツ)などの受験準備を進めていく予定です。そのノウハウは確実に導入していきます。

――ノウハウがないと、なかなか大変だということがよく分かりました。

多摩から世界へ!米アイビーリーグも視野に、渋幕・渋渋の国際教育のすべてを「MI」で再び取り組む「多摩から世界に!」を合言葉に、グローバル教育を根底に据えた教育を推進していく