「命の危険を感じています」
高級マンション住民からの悲痛な相談
今年の夏、私のもとに届いたメールに「同じマンションの中国人住人に恫喝を受け、命の危険を感じています」という切実な件名があることに気づいた。
送り主は千代田区内の新築高級マンションに住む日本人男性だった。すぐにクリックして中を読むと、「同じマンションの中国人住民にルール違反を注意したところ、大声で怒鳴られ、継続的に嫌がらせを受けている」という趣旨の長文のメールだった。
相談者は地元警察に相談したが、明確な違反行為がなければ介入が難しいので、何かあればすぐに通報してほしいと言われただけだった。
メールを読み終わり、すぐに区役所の担当者に内線をかけると、「千代田区ではそのようなトラブルはまだ上がっていないが、他区ではかなり増えている」とのことだった。何か対応できないか聞くと、「実質的に区役所では対応のしようがない」とのことだった。
後日、直接話を伺った。たしかに現制度では、居住トラブルに行政が直接関与できる範囲はかなり限られている。マンション管理組合にも相談して、自分のほうが正しいと主張したが、「そんなルールがどこに書いてあるんだ!」と逆ギレされたそうだ。
管理組合による解決にしても最終的には住人の良心に委ねられており、法的拘束力があるわけではない。「書いていないルールは守らなくてよい」という考え方の者に倫理を説いても、たいした効果は期待できない。
そのマンションは一等地に建つ、まだ竣工して数カ月しか経っていないものだった。売り出し価格は5億~6億円台が中心で、千代田区においてもかなりの高級マンションである。
相談者も、それくらいのグレードのマンションであれば、住人マナーはよいだろうから、家族にとっても安心だと思って引っ越してきた。しかし、その期待はすぐに裏切られた。