「松野トキ 探偵はじめました」

「松野トキ 探偵はじめました」

 高石あかりの代表作『ベイビーわるきゅーれ』では殺し屋役だったが、今度は探偵。

 サワが探偵の使命の詳細を聞こうとすると、「それはお答えできません。探偵は秘密を守ります」と真面目ぶって言うのだが、すぐにだだ漏れ。「おトキ探偵、口軽すぎだわ」とサワとわちゃわちゃふざけていると、目の前を見覚えある人物が通り過ぎた。

 錦織(吉沢亮)だった。

 明治23年8月30日、松江の海岸に、トキ、ヘブン、錦織と、重要人物たちが集結する。

 トキは錦織に声をかける。「銀二郎さんの妻の、いや妻だった」。あれだけインパクトのある出会いだったので彼もトキのことを覚えていた。

 錦織は県知事に雇われて異人の通訳を担当することになっていた。

 再会を懐かしむ間もなく待ちに待った異人を乗せた船が到着し、港は騒然となる。

 松江新報の記者・梶谷(岩崎う大)が「100万を超える大群衆に喜びの涙」と大げさなメモを取る。かなりの野次馬が詰めかけてはいるが100万は言い過ぎ。この記者、江藤県知事(佐野史郎)は緊張のあまり「さっそく小便を漏らしていた」とメモし、でたらめを書くなとたしなめられていた。新聞は影響力があるからと。

 いつの時代でもマスコミはでたらめを書きがち。朝ドラでは近作の『ブギウギ』(2023年度後期)や『虎に翼』(2024年度前期)にも記者が出てきて、彼らはたいていゴシップ記事を書き、主人公側から見るといやな人たちだった。それがあとになって変化が見られるのがお約束なのだが、今回の梶谷はどうであろうか。

 船に乗っている背と鼻の高いヘブンを見たトキは「天狗だー」「おーいおーい」と大はしゃぎ。ところがヘブンはなんだか浮かない顔をしている。日本に興味を持っていたはずだが、船酔いでもしたのだろうか。さっそくトキと運命の出会いを果たすのか。トキは小豆洗いみたいな人が好きだったはずだが、天狗みたいな人は好みなのだろうか。

外国人は妖怪じゃないのに…ヘブン(トミー・バストウ)ついに来日!おトキが本能的に感じた“違和感”〈ばけばけ第21回〉

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