靴メーカーイメージ写真はイメージです Photo:PIXTA

縮小する地域市場の中でも、結果を出す企業は確かに存在する。業種も規模も違う彼らに共通していたのは、シンプルだが強い行動原理だった。資源や人材が限られる中で、なぜ彼らは成果を出せたのか。地方からでも勝てる、そのヒントに迫る。※本稿は、神農将史『後継ぎ経営者のための70点経営 地味な積み重ねが、人と利益を引き寄せる』(日経BP)の一部を抜粋・編集したものです。

人口減少が進む地方で
ビジネス成功のカギは?

 会社が維持・成長をしていく上では、利益を継続的に確保するしかない。付加価値額などと言い換えてもいい。それこそが従業員や経営者の報酬、設備投資、研究開発費などの原資になるからだ。

 人口減少が進む地方において、地元で暮らす人だけを顧客にしたビジネスは売り上げが減少する。2020年から50年の間に人口が半減する地域で同じようにビジネスを続けていれば、半分になると思えばいい。規模が小さくなれば、設備投資の効率などが悪化し、今までと同じ設備やビジネスモデルでは必要な利益を確保できない。

 もし、その地域の中で最後の1社となるまで踏ん張り、地域でその商品・サービスを唯一供給する会社となれれば、残存者利益を得ることもできる。ただ、そのような環境では大きな設備投資や採用はできず、細々と続けていくほかない。

 そのため、人口減少が進んでいく地域に拠点を構える会社が維持・成長をし続けるなら、“外貨”を獲得するのが最善策だ。

 ここでいう“外貨”とは、「自社が拠点を置く地域以外の人が持つお金」と考えてもらえばいい。

ご当地企業にしかできない
人材を確保する方法

 例えば、筆者の地元は愛知県東郷町という、名古屋市の東側に位置する町だ。この東郷町に本社がある場合なら、近隣大都市である名古屋市の顧客でも、東京都の顧客でもいい。もちろん海外の顧客でも問題ない。顧客が大企業でも個人消費者でも構わない。